ヤマザクラ材の見事な光沢

木の彫り方、基本のお話。

こんばんは。今日は僕がこのブログでよく言っている木を割らない彫り方や、木の目に沿って彫ることについて話してみたいと思います。木彫の基礎です🏳

木を立体的に彫るにあたって必要になる木材の基礎知識。


僕は美術系大学の彫刻科出身ですが、実際木彫の実習で習ったことは今日話すことくらいです。あとは道具の手入れとか、チェーンソーの安全な使い方とか。木の継ぎ方とか。

実際の具体的な彫り方って、決まったやり方が無いし何が正しいと言い切れない世界なので、説明のしようがないんです。大学でも教わりませんでした。今の僕も思うのですが、木彫はケガさえしなきゃ(あるいは鑑賞者などにケガをさせなければ)どんな彫り方で何を作ってもいいのです。

ただ、扱うものが木である以上、木の特性を理解しておけば失敗を防げたり早くきれいにできたりするのは事実。
また他のサイトではほとんどが浮き彫り(レリーフ)の彫り方の話で、奥行きがあって正面から背面まで、360°三次元の立体を彫る「丸彫り」について記述が少ないので、僕がチャレンジしてみます💪

ここでは丸彫りの作品制作について、木彫で起こりがちな失敗を防ぐ方法、きれいに仕上がって見えるために気を付けるポイントをまとめました🐇
それではGo🚗


目次

基本その一。小口から外側に向かって彫らない

基本その二。溝は両方向から彫る。

基本その三。割れやすさを逆に利用する

基本その四。順目逆目を理解する

基本その五。木肌を整えて仕上げる

 ノミ底の仕上げ

 小口の荒れ

 切り立てた側面の仕上げ


基本その一。小口から外側に向かって彫らない

丸太の状態の木を水平に輪切りした断面を小口(こぐち)と言います。

その小口を縦に割った断面を、青矢印のように真横から見たとしましょう。

木を縦に割った断面を横から見る
木を縦に割った断面を横から見る

下図のように年輪が縦に走って見えます。上が小口面になりますね。

このとき、赤矢印の方向にノミを進めて、青い点線のように45°彫り落とそうとすると失敗します。

小口を外側に向けて彫ってはだめ
小口を外側に向けて彫ってはだめ

実際にはこのように、木目に沿って木が縦に割れちゃうのです!

木目のところで割れる
木目のところで割れる

彫らずに残しておきたいところまで一緒になくなっちゃいました😥
やり直しが効かない木彫ではこれが致命的💥

もし、青点線のように彫りたいときは逆に下から上に向かって彫らないといけません。

つまり、小口面を木の中心から外側方向に向かって彫ろうとすると割れやすくなります。必ず、周辺から中心に向かって彫るようにしましょう。

木の外周に沿って180°横方向へ彫るのもOKです。(厳密には、「優」ではなく「可」という感じ。後述のように木肌がきれいに仕上がらないから)

基本その二。溝は両方向から彫る。

例えば下図のように、青点線に沿って半円状に彫りたいとき。赤矢印のように一方向から彫ろうとすると…

下からすくい上げるように彫るときに割れる
下からすくい上げるように彫るときに割れる

刃が上向きになったとき割れます。これ、結構やっちゃうんですよ。やると悲しみます😭

「え、どういうことですか?ですよねー、そうですよねー。あーあ…(泣)」

こうならないようにするには、図の右方向から斜め下に向かって彫って、底まで彫ったら反対に左方向から彫って、溝の底でつながるようにします。

で、実際どのくらい割れやすいかは木の種類によります。ちょっとでも割れる彫り方をやると容赦なく割れる木もあれば、その辺が多少適当でも許してくれる木もあります。そんな、比較的寛大な木のことを「粘りがある」といいます。はいここテストに出まーす👨‍🏫

一般に針葉樹は粘りが少なく(割れやすく)、広葉樹は粘りがあるよ!

基本その三。割れやすさを逆に利用する

前にレイちゃんを彫ったときに紹介したお話です。ブログ始めたばかりの頃の記事です👶
下の記事で「はつり」として紹介している方法。手っ取り早く荒彫りするときの方法です。

さっきのおさらいで、木は木目に沿って縦に割れるのでした。なので、事前に横方向に切り込みを入れておいて、わざと割れやすい方向に縦にノミを打つと、思い通りの形に割れてくれます💡

はつり
はつりの図

この時、横挽きののこぎりを使います。のこぎりの縦挽き横挽きの違いはこちらの記事を見てね。

荒彫り
荒彫り

横方向の切り込みは作品サイズにもよりますが上の作例では2センチ前後の間隔で入れてます。

小さい作品の時と、切り込みが浅いときは間隔を狭めます。その辺の勘はやって覚えて💦

基本その四。順目逆目を理解する

これについては、原理としては今までとかぶる話ですが、木肌という観点もあるので新しく説明し直します。

木を彫るときの刃の進め方には順目と逆目があります。順目という字。僕は「じゅんめ」と読んでましたが「ならいめ」とも読むらしいです。実際には逆目(さかめ)の方が圧倒的によく使う用語なので気に留めてなかった😃

木目に逆らわずに順目で彫ると木肌が滑らかで光沢を帯び、紙やすりで磨かなくてもきれいに仕上がります。逆に逆目は繊維がむしり取られるように荒れた彫り跡になってしまいます。

下の写真で三角形の彫り跡がありますね。ヤマザクラ材に順目でのみを入れたところが、きれいに光ってる様子です。

ヤマザクラ材の見事な光沢
ヤマザクラ材の見事な光沢

同じ材の別写真。順目と逆目の写真です。参考までに割り肌(木を割いたときの状態)も載せておきます。

ヤマザクラ材の木肌サンプル
ヤマザクラ材の木肌サンプル


矢印のように画面左から右に彫ると逆目に、右から左に彫ると順目になります。
逆目で彫ろうとするといちいち刃が引っかかって、そのたびに割れそうになります。割れそうなところをさらに力づくで刃を進めると割り肌が現れます。ヤマザクラはめっちゃ割れやすいんです。

もうひとつの例として、檜材のサンプルも乗っけときます👇

左から右が逆目、右から左が順目です。檜は順目で彫るとめっちゃきれいです!かんな掛けしたみたいでしょ?

檜材の木肌サンプル
檜材の木肌サンプル


木には個性があるので、このようにわかりやすい例ばかりではありません。樹種レベルの個性、個体レベルの個性✨

まっすぐ木目が直線の木は存在しません。大きく曲がりながら伸びた材もあります。木の節ができていると、部分的に目の方向が変わります。
楠は木目が入り組んでいて、どっちから彫っても逆目になるときがあります。
丸彫りは浮彫と違って様々な角度から彫るので、状況によって順目逆目が頻繁に変わります。

このため、さっきまで順目で進めてたはずなのになんか逆目っぽくなってる…、ってことがよくあるんですよ。
いかにも職人言葉っぽいですが、木の目は木に聞け、ということでしょうかね…🤔

やむを得ず逆目で彫るときは、できるだけ木肌の荒れが少なくなる方向にスライドさせて刃を進めます。刃の進む方向が刃のついている方向と平行に近くなるようにします。彫るというより切る感じ。

図にするとこんな感じです。

逆目の刃の進め方
逆目の刃の進め方


また、刃物がよく研げていると逆目でも荒れにくくなります。

基本その五。木肌を整えて仕上げる

またまたさっきの話と関連しますが、木彫は仕上げがちゃんとしてないと目立ちます。

ノミ底の仕上げ

その二のところで説明した、溝は左右両方向から彫ろう!の話に戻ります。
約束通り両方から彫りました🎵すると真ん中に不自然なささくれができます😭

ノミ底の切り返しが荒れてしまう
ノミ底の切り返しが荒れてしまう

昔は気にしてなかったんだけど、うさぎのように小さな作品を彫るようになると、これが目立って気になりだしました。改めて上手い職人さんの仕事を見ると、みんなここをきれいに仕上げてます✨

のみや彫刻刀で溝を彫っていって、溝が一番底にきて上向きに切り替わる境目。目立つささくれは丁寧に取りましょう。ここがきれいだと見栄えがいいんです❗

小口の荒れ

次に気になるのが小口の仕上げ。小口面はどんな木でもめちゃくちゃ硬くて彫りにくいです。そして、下図のように小さく穴が開きます。

小口の荒れ
小口の荒れ

これが困ったもので、荒彫りだから(まだ深く彫るから)いいや、と思ってると、思ったよりも穴が深部まで到達してるときがあります。彫っても彫っても穴が消えないので諦めて穴が残ったままにするか、根本的に形を彫り直すかの二択になります…。

小口の仕上げはみんな手を焼きます。最も簡単なのは紙やすり仕上げにしちゃうことです。彫ったまま仕上げるときはよく研いだ刃で優しく彫るしかないです。大きな道具と強い力で彫れないので効率は悪いです。

切り立てた側面の仕上げ

この話は浮き彫りでも当てはまります。例えば下の鉛筆の線に沿って彫りたいとき。

檜の彫刻例
檜の彫刻例

最初に輪郭に沿って切り込みを入れて、斜線部分を平のみなどで落としていきます。
一度に目的の深さまで彫れないので、輪郭の切り立て→周辺の彫り込みを繰り返すのですが、その断面がこのようになります。

側面が仕上がってません
側面が仕上がってません

なんというか、ミルフィーユ状に、側面が段々模様になるんです。切り立て→彫り込みの回数が多いほどこうなります。これも結構気になります。

ミルフィーユ。おなかすいてきた。デニッシュも食べたい😋それはいいとして。

切り立ってる側面も、小さな彫刻刀できれいに整えたいもの。もちろん順目を意識して。上の写真だと左から右方向に刃を進めるときれいにできました。

側面を整えました
側面を整えました

まとめ

以上、木彫の一番の基礎についてお話してきました。僕は美大でちょっと勉強したくらいなので、伝統の職人さんには及びません。
ですが最低限この知識があれば好きな形に木彫りができると思います。

冒頭でお話したように、逆にこれくらいしか習わなかったし教えることもないくらいなので、思ったより木彫りのハードルは低いかも❓

くれぐれもケガだけは気を付けてね❗❗

というわけで今日の記事はここまでです。文末に道具関係のリンクもつけておきます。

それではみなさん、次の記事でお会いしましょう!バイバイっ!

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