木彫りを生かすも殺すも着色次第!今日は木彫りうさぎさんの最後の仕上げ、着色に使う道具についてご紹介します🎨
木彫りうさぎの着色
僕は形を彫り終わったあと、控えめに着色してます。そのままでもきれいなんですがちょっと色をつけてあげるとグッと印象が変わります✨
着色前のレイちゃんと着色後を比べてみました。
今日は着色について、下地作りと絵の具などについて書いてみようと思います。
木肌を生かした着色のこと
僕は基本的に無着色で仕上げたい派です。やっぱり木の質感が好きなので。
うさちゃんの目や口とか、毛色や模様の関係で色が必要な場合のみ、着色します。着色が必要でも、なるべく木肌を覆い隠さないように心がけています。
絵の具はできれば染料を使いたいです。顔料を使うときも透明色で。
染料と顔料
なんだかプリンターの話みたい😅
染料は木の奥に浸透して発色します。対して顔料は木の表面にとどまって発色します。
ベンチとかに塗るペンキは顔料ですね。
顔料を厚く塗ると、木肌を塗膜でコーティングすることになって木の質感が失われてしまいます。極端な話、顔料の厚塗りなら木でもプラスチックでも同じように見えてしまいます。それはなんだかもったいない。
また、木は乾燥で縮むので厚い塗膜はだんだんひび割れてきます。
とは言え染料の扱いは難しいので、今は水彩色鉛筆をメインに使ってます。顔料系ですが、薄く塗ることに気をつければ自然な着色ができます✨。場合によって透明水彩なども試します。
透明色と不透明色
絵の具は顔料と糊が混ざってできていて、透明色と不透明色に大別されます。透明色の絵の具は塗った後も下地の色が透けて見えます。不透明色は塗る前の色を覆い隠します。(あまり薄めれば不透明色でも透けて見えるよ)木目を生かすなら透明色一択です🎨
つや出しについて
僕はニスを使いません。理由は、ニスを使うとテカテカした不自然なつやが出てしまい、無機質に見えてしまうから。
うさちゃんの目のようにつやが必要な部分でも、表面をティッシュなどでこすって光らせる程度にとどめています。
それくらいのつや感に抑えたほうが木がもつ素朴な温かみを生かせます。
表面仕上げ、塗装下地について
厚塗りしないやり方なので、塗る前の下地をどうするかによってかなり雰囲気変わります。
画材の話を読みたい人はページ下部の使用道具に飛んでね。
彫り跡残し仕上げ
コップちゃんがこれです。
彫刻刀を進める方向によっては、磨かなくてもきれいな木肌が出てくれるんです。コツは常に木目を荒らさないように彫ること(刃の進む向きや強さを調節すること)、そして刃物をよく研ぐこと。
ぷいちゃんやレイちゃんは彫り跡の上から薄ーく紙やすりをかけてます。彫り跡を完全につぶさない程度に。
起毛仕上げ
木の表面をやすりなどで毛羽立たせます。だんちゃんとるっくんがこれ。
目止め
塗装下地を作るため、必要に応じて目止めを行います。
木の表面には微細な穴がたくさん開いています。そのまま色を塗ると顔料が穴の奥に入ってしまって、色がうまく乗りません😅
そこで細かい粉を水で溶いて塗ることで穴をふさぎ、以後の塗料の乗りを良くします。これを目止めといいます。
下はとの粉が入った後のレイちゃん拡大画像です。穴の部分に白いとの粉がしっかり詰まっているのがわかりますか?
色鉛筆で描くだけの場合、目止めはそれほど必要でもないです。ただ水彩色鉛筆を水で溶く場合や、筆で絵の具を塗る場合は目止めをしておくといいです。
目止めに使うのは、との粉が一般的。
との粉自体にも色がついているので簡単な着色になります(定着しないので厚塗りはできません。)
僕は白だけ使っています。木を白く塗るのは難しいんです。染料では無理🤔 色鉛筆でも白は効かないんです😯
注意点として、との粉を掛けた後で彫刻刀で彫ると刃を痛めやすいと言われています。との粉の微粉末が刃先を削り取るのです。あまり神経質になるほどではありませんが、との粉掛けした後に彫った時は後で刃をしっかり研いでおきましょう。
使用道具
ようやく着色の記事らしい話題になってきました🌸絵の具や道具などのご紹介です❗
水彩色鉛筆
ステッドラーのカラトアクェレルです。昔24色セットを買って、それから必要な色を適宜買い足して使ってます。
水彩色鉛筆はカラー画材としては扱いやすく有能です(*^^*)
木とのなじみが良く、いかにも「塗った」感がしないのがお気に入りです。うさぎの毛並みに沿ってタッチを入れられるのも魅力です。
目の部分のように濃く塗ってつやを出したいときにも使えます。
なにより、水彩色鉛筆は水で濡らすと絵の具のように色が溶け出すので、水彩絵の具感覚でも使えます。形の深い溝には色鉛筆の芯が届かないので、溶かして塗る方法も有効です👍
下のサンプルは順目で彫ったカヤの木の板目面に、水彩色鉛筆で直接描いたところと、同じ色の色鉛筆を溶かして塗ったところ。
最後まで色を塗り終えたら必要に応じて、色の定着のためにフィキサチーフをかけます。下の商品はつや有り仕上げになります。マットなやつもあるのでお好みで。
水彩絵の具
ホルベインの透明水彩絵の具。色はチャイニーズホワイト。
うさぎさんのおなかやしっぽの白をうまく出したいと思い、購入しました。できるだけ木肌を隠さない白絵の具です。
白といっても種類があります。
ホルベインの透明水彩では二種類。チタニウムホワイトとチャイニーズホワイト。同じような色でも性質が違います。チャイニーズホワイトの方が透明感ある仕上がりに、チタニウムホワイトの方が木目をカバーする力が強いそうです。
チャイニーズホワイトで檜の着色サンプルをつくりました。目止めなしで塗っています。
まずこちらが板目面。左の方はカマクラ刀の彫り跡残し仕上げです。上から下に行くにしたがって、絵の具原液からだんだん薄めています。
透明色とはいえ原液で塗ると濃く、若干光沢が出ます。
別角度からの写真です。
こちらは紙やすり#400で磨いた後の板目面です。こちらも上からだんだん薄めています。紙やすりで磨くと、木の粉が詰まって少しだけ目止め効果があります。
また別角度から。
今度は木口面です。木口は木の水平断面。絵の具の吸収がめちゃくちゃ早いです。筆で描いた直後にスポンジのように絵の具が吸い込まれていきます。
コーヒー染め
ナチュラルな染料で、素朴な色合いになります。オーガニックっすね🍀
ふせちゃんの制作で初チャレンジしました。この子の耳や、鼻と目の周りがコーヒー染め。
何杯分か集めたコーヒー粉の出がらしをパックに入れ、煮沸して濃く抽出し、さらに水分を蒸発させて濃縮。ドリップ用のペーパーでこして、染料にします。飲用の濃度では薄すぎてダメでした。なお、カビが生えるので余った染料は冷蔵庫で保存して1~2日で使い切りましょう。
筆・刷毛
ホームセンターとかので十分です。
大事なのは筆や刷毛それぞれの値段より、筆と刷毛の使い分けの方。広い部分を塗るのにケチって小さい筆を使うのはやめた方がいいです。なぜかというと、効率が悪いだけでなくムラになりやすいから。
彫刻の着色は奥深く、いいムラと悪いムラがあるのですが…。小さい筆で広い部分を塗ると不自然なタッチが残るんです。大きな刷毛を大胆に動かして描いたムラは、なぜか絵になります。🎨
さっきの目止めの重要性とも関連しますが、絵の具がすぐに木に吸い込まれてしまうと、重ね塗りしたときにそこだけ濃くなります。
筆が小さいほど重ね塗りの回数も多くなりがち。なので細かい色むらが沢山できて、きれいに見えないんです。
紙やすり
下地づくりの道具としてご紹介します。左から、布やすり、耐水ペーパー、紙やすり。
布やすりや耐水ペーパーは長持ちするんですが、黒い研磨剤が剥がれて木に入り込み、汚れます。シンプルな紙やすりが木にはベストです。値段も一番安い🙆♂️
終わりに
自然な木肌を生かした木彫の着色について書いてきました。具体的な着色の手順はルッツくんの制作過程の記事が詳しいです。
レイちゃんの制作で、との粉を使った目止めについて書いてます。
最後に、紹介したリンクをまとめておきます。
以上、着色の話でした。参考になったら幸いです。それでは。またねー🙋♂️
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