こんばんは、ティムです。今日はデッサンの視覚混合をテーマに書いてみます。
そもそも視覚混合とは
美術🎨の専門用語ですが難しくなんかないです。服の話で、グレー一色に染めてある生地と、白と黒の細かい模様が混ざってて遠目に見たらグレーっぽく見える生地は違いますよね。あれです。
絵画の世界では、絵の具を混ぜずに細かく散りばめて、遠くから見たときに色が混ざったように見せる技法です。
なぜわざわざそうするかというと、絵の具は混ぜれば混ぜるほど、色が濁って汚く見えてしまうから。絵の具が本来もっていた鮮やかな発色を生かすために、できるだけ混色を避けたい。そのために、実際に混色せずに目の錯覚で混ざったように見せよう、というわけ。
デッサンにおける視覚混合
単色で描くデッサンでも視覚混合は有効✨
でも、絵の具で描く場合と比べるとデッサンの視覚混合は少し違います。
今日は一枚の作例の制作過程を見ながら説明してみましょう。
モデルは首マフがついたお座りうさちゃんです🐇
描き出し~序盤まで
描き出しはいつも通りです。大雑把に輪郭をつかんで、だんだん細かくしていって、ざっくりした面取りまで、一気に振り返ります!
視覚混合、実践!
さて、ここからが本番です。
この子の見た目の特徴であるグレーの毛の再現を考え始めました。
まず単純に、もっと全体的に色が濃いので鉛筆で全体的に暗くしました。ベースとなるトーンを最初に作っちゃいます。
後工程で白抜きをたくさんやる前提の場合、あまり画面を擦らない方がいいです。この作例でも鉛筆を寝かせて描いたまま、擦筆やティッシュはあまり使ってません。
ベースができたら、モデルさんをもっとよく観察して、毛の色や質感に迫ります。
モデルうさちゃん、毛色がただのグレーではありません。
濃いグレーの毛と白っぽい毛が細かく混ざり合っているんです。
細かい色が混ざり合って全体的には違う色に見える…
そう!視覚混合❗
鉛筆の線で作る濃いめのタッチと、練りゴムで細かく白抜きした部分を細かく織り交ぜて、全く違う質感を作り上げていきます。下図のように。
ポイントは三つ。
- 鉛筆を立てて描く
- 鉛筆のタッチは濃いめにしてコントラストを作る
- 白抜き部分をシャープにする
鉛筆を立てて描くことで細かい明暗差を作りやすくなります。
またコントラストを多めに取った方が、より混色効果があります。
練りゴムで白抜きしたところは輪郭がぼやけてしまいがちです。練りゴムを尖らせたり、鉛筆で輪郭を締めたりしてぼやけてしまわないようにしています。
作業量としてはベタ塗りの方が楽なので、今回はいつも以上に手間がかかってます。この紙は表面の凸凹がないので自分で白黒の混色を作らなければならず、それも関係してます。
なお、この作例では立体感は控えめになってます。主題は毛色の方ですから。
美大受験風のデッサンでも、鉛筆を寝かせたり紙をこすったりした部分と、クロスハッチングでタッチを残した部分の質感は全然異なります。そういうデッサンでもこの技法は通用するはず。
辛抱強く描き続けて、上図の後の状態から4時間近く掛かりました。
やっと完成🎊
実物はもうちょっと色が暗いです。鉛筆画の撮影はいつも難しいです🤔
まとめ
視覚混合って、印象派やそのちょっと後の時代の人が追及したやつです。もともとは光の明るさや色の鮮やかさを出すための技法ですが、今回はうさぎの毛の色や質感描写に応用しました。
まとめると、
- ベース色配置
- 鉛筆を立てたタッチ、練りゴムの白抜きの繰り返し
このようにして画面を作っていきました。
モノクロで描く絵でも色の扱いはとても重要。今日はその一例となる記事でした。ほかにも固有色の話とか、デッサンと色の関係は奥が深いんです。
固有色についてはこちらも見てくれたら幸いです。
と、いうわけでデッサンの視覚混合について書いてきました。それでは次回またお会いしましょう!ばいばーい💨
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