木彫 PR

うさぎさんのペーパーナイフを作りました。

こんにちはティムです。今日はちょっと素敵なオーダーメイド品をご紹介します✨

垂れ耳うさぎさん型のペーパーナイフ

さっそくご紹介。こちらです✨

素材はハードメイプル。つるつるに磨いています。

活動休止前、X(旧Twitter)から木でペーパーナイフを作れないかご相談いただきました。

快諾させていただいたのですが、いかんせん初めてのことだったので試作品を作りながらのご提案となりました。

まずユーザー様の利き手を伺って、デザイン着手です。

デザイン

上はいくつかのデザイン案をご提示し、選んでいただいた案をさらに詰めたデザイン画です。指穴に中指を通し、うさちゃんの頭の後ろ上に親指をあてがう構造です(画像はしっぽがついてますが、検討の結果なくなりました)

ここまでできたら、いったん粘土で試作します。

ここで僕の活動休止が始まってしまいましたが、休止期間明けにできたマケットがこちら。持ち心地などをチェックしました。

今作で僕は致命的なミスを2回犯しているのですが、この時点ですでにその一回目が。さて、何が悪かったのでしょうか??

この案でお客様にOKいただき、次はいよいよ木材の買い付けです。

まず選んだのは高級木材の一角で、油分が豊富のため経年変化が美しい、チーク材です。

おや?サムネの木と色が違いますね。

チークはとても良い木なのですが、この選択は致命的ミスの二回目。これも後々響いてきます😭この木ではだめな理由。仕上げに近づくにつれ明らかになってきます。

木取り~荒彫り

続いては、仕入れた木材にマケット通りに鉛筆で輪郭を描き写します。この輪郭に沿って彫っていけばOKってわけ。

線引いて、ようやく気付きました。

……やらかした!!(致命的ミス一回目💥)

木は木目に沿って割れやすい構造になってます。このように刃が湾曲していると、木目が刃を横断するように走ります。

なので、うっかり落としたりした衝撃で刃先がポキンと折れてしまうのです😭

どうして今さら気付いたのか。木彫り何年やってんだって話です😳

お客様に謝罪し、マケットから作り替え。刀身をまっすぐに変更しました。

刃の先端を通る木目の筋が刃の根元まで途切れずに繋がって、構造的に強くなりました。

と、いうわけで致命的ミス一回目でした。百歩譲って、これは木材をカットする前に気づいたから良かったです。次はもっとひどかったので💦

仕切り直し

輪郭を写し取ったら、まず先に材に負担がかかる穴あけを済ましておきます。

のこぎりで、大まかに直線でカット。

次に彫り落とす部分に切り込みを入れ、取り除きやすくします。

のみややすりで形を整えます。大体の輪郭ができてきました。チークはまあまあ硬い木材の部類に入りますが、彫りやすい木です。

中彫り

丸彫り彫刻なら、のみを使って形を作っていくのですが今回はやすりを使って輪郭をさらに詰めます。

ちょっと元の板が厚かったので、1mmくらい薄くしました。

続いて表面の刃の部分を、うさぎさんの頭の輪郭に沿って一段下に彫り下げました。

指通り穴を斜めに貫通させることで手にフィットしやすくする工夫をしていて、やすりで丁寧に削ります。

下図は裏面。こっちは机に置いたときの安定性重視のため、うさちゃんの形に彫り下げないで溝だけ刻みました。

仕上げ彫り

さてここから紙やすりで丁寧に磨いていって…

ここまできました。

次はうさちゃんのおめめを彫ります。

普通の木工ドリルで穴をあけると、ドリルの先端が尖ったネジになっているせいで…

真ん中に黒い点のような穴が開きます。これはかわいくない!

そこで、このために別の工具を使います。

おめめができました✨かわいい!

さてこれで完成!

と思ったら…。

品質検査不合格。

紙を試し切りしつつ、仕上げ段階で気付きました。チーク材は肌目が粗いので、微妙に刃こぼれができていました。下の拡大画像をご覧ください。右側が刃なのですが、木目に沿って段差ができているのがお判りいただけるでしょうか?

研ぎ方を色々工夫したのですが、チーク材でペーパーナイフを彫るとボロボロの刃になってしまい、見た目も切れ味も微妙、耐久性も懸念あり、という結果になってしまいました。

素材の選択が根本的に間違っていたようです。チークは磨くとつやが出るし、そういう木なら密度も高くて大丈夫だろうと油断していました😭

お客様に二度目の謝罪。別素材で一から作り直しを申し出て、ご了承いただきました。

別素材の検討

木材は、比重など硬さの観点と、木肌のきめの細かさという観点が別ものと考えたほうがいいみたいです。例えばタモなんかは野球のバットに使われるくらい硬くて丈夫ですが、のこぎりで切った断面をみると、木目に沿った凸凹が目立ちます。

刃物として使うなら、ただ硬いだけではなく、肌目が密になっている木材が適しているのです。

荒彫りリベンジ

というわけで選んだのはハードメイプルでした。前に彫ったことがある木。最初からこれにしときゃ良かったです(泣)。急いで荒彫りを進めます。硬いので加工が難しいです。

輪郭線に少しずつ迫っていく感じ。

ここでいったん厚み調整をかけました。今回も1mmほど落とします。チークの3~4倍は時間がかかりました💦

さらに磨いて、輪郭線ギリギリまで攻めます。コンマ数ミリを争うときは木工やすりではなく、より細かい鉄鋼やすりを使うこともあります。

このとき、断面が垂直になるように削るのが大切。厚み9mmくらいの板材でも、断面が斜めだと2mmくらい狂ってしまいます。この差は大きいです。

下図は、刀身の一段彫り下げをやったところ。

裏も彫ります。

おめめも彫りました✨

秘密兵器、出動!

さて、ここから磨いていって完成ですが、お客様から「ティムさんのサインを入れてほしい!」とご要望いただいていました。

手彫り・筆書きなどを試しましたが、線がぐにゃぐにゃしてダサい!!

おめめを彫るときに使った電動工具でもきれいに彫れませんでした。

レーザー彫刻だと、単に機械にセットしてスイッチ入れました、みたいな単調な印象になり、ハンドメイドの温かみがほしい…。

そもそも木彫り専用の簡単に彫れるサインすら考えました。ティム(TIM)のモノグラム。それもなんか違う~、で却下。

焼き印は、当初はチーク材だったので色が被ってるし、経年で消えてしまいそうで心配でした。もっと恒久的に残る形にしたかったです。

そこで。

奮発してオリジナルの刻印を発注しました!

重量感があってめっちゃ高級な感じ🎵

印面拡大図。すごく精密です。

製作をお願いしたのはタイガー刻印製作所様。洗練された道具には美しさすら感じます✨

木材に刻印を打つのはコツが要ります。何度か練習して、本番の作品に打ち込み。そうそう!こういうのが良かった!!

色ではなく窪みなので、主張がさりげなくてオシャレだし、ずっと残る形です。

しょせんサインだから、俺が俺が!と出しゃばらないでいいのよ。でもサインだから、消えちゃ困るのよ。これですよ、これ👍

仕上げ~完成

紙やすりの番手を細かくしていき、丁寧に丁寧に磨きました。すべすべの質感😃

仕上げに靴磨きに使うブラシを買ってきて(もちろん新品👍)、微量のオリーブオイルをすり込みました。保湿のためです。少し色が濃くなって、引き締まった感じ。

改めて、こちらが完成したペーパーナイフです✨

品質検査もバッチリ。刃先がこんなに綺麗です✨

パッケージもかわいく

制作中からずっと包装について考えていて、箱入りに決めました。ゴールドのゴム紐で2か所を固定するつもりでしたがゴムが硬すぎて取り出しにくかったので、逆手にとってリボン結びにしました。

これがめっちゃかわいい💕

薄葉紙(うすようし、っていうんですって😳)で包み、きちんと感を。箔押しのサンキューシールがアクセント💡

新規にデザインした縦型のブランド帯をつけて。

たいへん喜んでくれました😃

お客様の元に届いて、喜びのお言葉を頂きました✨

妥協したくない!という僕のわがままで最初からやり直すなど、納期がとても長くなってしまったのにご理解を示してくださったおかげで、とても良いものができました!ほんとうにほんとうにありがとうございました🍀

さて、以上新作メイキングでした。これで、活動休止前にいただいていたオーダーをすべて納品しました。日曜日にオーダー受付再開できるよう準備しています。その時はまた本ブログで告知しますね。

それでは皆様、またお会いしましょう。長い記事でしたが最後までありがとうございました。

絵画彫刻その他制作承ります。

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