こんにちは!ティムです。今日はハンドメイド作品、アート作品を輸送する時の、安全な梱包のやり方について説明してみます🎁
梱包はけっこう手間がかかるし、コストもかかるし、かといって手抜きをして中身が壊れてしまうのは嫌ですよね。
僕は大学時代彫刻を専攻していたので、展覧会で立体の作品を壊さず運ぶための梱包方法を一通り覚えました。
社会人になってからは物流業で働いていたこともあり、毎日段ボールの箱詰めをやってました。
そんな経歴を持つ僕のため「梱包で失敗したことはありません✨」と言いたいところですが…
実は破損事故を起こしてしまったことがあります。
悲しい失敗談
こちらのハンドメイド作品を発売したばかりの頃
写真の透明ケースを直接封筒に入れて普通郵便で発送したんですね。
透明ケースのふたも箱に差し込んだまま、特に固定しないで発送したのですが…
お客様に届いたとき、ケースがつぶれて中身が飛び出してしまうことが多発、なかには、うさぎさんのお耳が折れた状態で届いてしまったこともありました。
この記事の内容に忠実に梱包していれば、こんなことにはなりませんでした。梱包に自信があったことが慢心となりました…。
かわいいうさぎさんの作品が届くことを楽しみに待っていたお客様。届いた作品が壊れていたというのは、まるで花束をつぶしてお客様に投げつけるような行為でした。補償すればよいという問題ではないのです。
みなさんはこんな失敗をしないように、今日の記事を読んで基本をしっかり守って梱包してくださいね🍀
まず、目的を考えてみる。
一口に梱包と言っても、どのような目的で作品を運びたいのかによって、梱包方法も変わってきます。
- ハンドメイド作品の販売のように、作家からお客様へ作品をお届けして、そこで役割終了となる場合。
- 展覧会の搬入出のように、同じ梱包材を繰り返し使って往復・巡回する場合
作品販売の場合、梱包だけでなくパッケージデザインの要素も入ってきますよね。搬入出の場合は往復の利用に耐える梱包材の使用と、自分以外の人が梱包する可能性を考慮する必要があります。
なので、まずどんな用途の梱包でも基本となることを話してから、用途別の項目をちょっとだけ補足で書いていきますね。
梱包のきほん。
うちの子ぷいちゃんが箱に入ってみるよ🐇
ぷいちゃんを気泡緩衝材で包んで、段ボール箱に包むまでを見ていきましょう💡
気泡緩衝材とは、いわゆる「プチプチ」のこと。この名称は川上産業(株)の商標です📌
緩衝材で品物を包む
気泡緩衝材は二層式のものと三層式のものがあります。二層式の場合は平らなシートの上に丸い空気包が乗っかった形になっています。三層式は両面がシートで挟まれてます。
一般に、平らな方を外側にして包みます。僕もそうします。だって、その方がテープ留めしやすいでしょ?
この時、ピンときつく巻いてテープで留めます。緩んでしまうと効果が低くなります。
ぷいちゃんが緩衝材で包まれました💝
今回の例ではうさぎの木彫りなので、耳の部分は細くて弱く、心配です。そういう時は、部分的に包みを二重にして補強します💪
繊細な飾りがあるハンドメイド作品の時は、特に弱い部分にス●ーバックスのフ●ペチーノの容器のようなドーム状のガードを入れたいですね。
その時は、作品のなかで強度が高い部分とガードをつなぎ、そっちに衝撃が逃げるようにします。こんな風にね。
防水と耐衝撃は分けて考える。
耐衝撃性を高めた梱包というのは、ゲームに例えると物理防御力が高い状態です。
では魔法防御力は?水属性攻撃に備える、それが防水です💧
先ほどの気泡緩衝材で包んだ上から、必要に応じてビニール袋に入れるなど、別途対策します。
輸送中の水濡れは、単に雨だけでなく一緒に運ばれた他の荷物から水漏れして、もらい事故になるケースも考えられます。
下の図はミニ原画の防水の例です。
緩衝材がビニール製であっても、それが防水を兼ねると考えずに、別々にした方が安全だと思います。理由は、緩衝材にはテープ留めの隙間がたくさんできるから。
ちょっと一工夫ですが、作品を直接密封性の高い袋に入れて梱包すると、万一破損があったとき袋の中にかけらが残るので、輸送事故なのかどうか特定ができます💡
そうそう、火属性ダメージを受けたら諦めるしかないと思いますが、熱への対策が必要になる作品はあるかもしれませんね。真夏のトラック車内は、めっちゃ暑いですよ~~🥵
続いて、箱詰めをやります📦
段ボール箱の組み立て方
組み立ては養生テープがおすすめ
養生テープ(緑とか白の樹脂製のやつ)が何かと便利です。
ただし、底抜けの心配がない軽量物の梱包に限ります。
布のガムテープは粘着力が強すぎて取り回しが悪いので僕は避けます。紙のガムテープはマジックを弾いてしまうもの、重ね貼りができないものがあり、やはり使いません。
養生テープは粘着力が低いのですが、箱のまま長期で輸送・保存する場合以外はこれで十分です。
あと、色が半透明なのも嬉しいポイント。マジックで何か書いた上からテープを貼っても文字が読めるんです。
養生テープには弱粘着タイプがあるので、そちらは避けましょう。
重量物は段ボール箱以外の梱包法を検討しましょう。(例:木枠梱包)
段ボール箱の組み立て例
段ボール箱はきれいに組み立てます。それが一番丈夫です。
箱のフタや側面をぴったり合わせて留める
下の写真のように、箱の合わせ目がずれていたり、短辺の部分がはみ出していたりすると、強度が落ちます。
はみ出した部分を叩いて引っ込ませて、フタがきちんと合わさるようにしましょう。
箱の底を十字にテープ貼りすると、多少丈夫になります。
同じく、テープでフタを閉めた後斜めに貼るのも補強になります。
箱の中心に配置する
箱の四隅は、どんなに気を付けていても何かをぶつけて潰してしまう可能性があるのです💥
大事なもの、特に強度が弱い部分が箱の角に位置しないように気を付けて箱詰めしましょう。
超重要!輸送中に中身が動かないようにする
あらゆる目的の梱包の基本のキです。箱の中で物がガタガタ動いてしまうと、箱の内側に物がぶつかって破損します😭
トラックなどの輸送中の振動って、想像以上なんですよ。
人間だってシートベルトしますよね?車のボディが鉄でできていても、衝撃で中の人がぶつかったら大事故なのです。
固定のため、隙間を詰めてびっちり入れるのが一番大事です。先ほどのぷいちゃんが箱に入ってみたよ🐇
※見やすいように防水を省略してます。
写真はウレタンフォームを使っていますが、段ボールを折ったやつでもタオルでも新聞紙でも、とにかく物を詰めて品物を固定することです。必要に応じて、詰め物も動かないようにテープで留めましょう。
箱詰めした後に箱を大きくゆすってみて、ゴトゴトいったりゆさゆさ動く手ごたえがあったりするとよくないです。
箱は縮めないでもいい
さっきの写真だと箱の上側が余ってますが、あえて箱を切って縮める必要はありません。なぜかというと、かえって箱の強度が落ちてしまうから。
ネットで物を買うと、箱の中にポツンと小さなものが入ってたりしますよね?大げさな箱だなぁ、と。あれも、一理あります🙂
わざわざ箱を縮める手間をかけて、かえって輸送事故のリスクが上がるくらいならそのままの方がいい。それでトラック一台二台増えたとしても、微々たるもの。
その代わり、中身が動かないようにラップみたいなものでぱっつーんと張って固定してるでしょ?なるほど、梱包を突き詰めるとあれに行き着くのですね。
今回の例では、上にバスタオルをかぶせて軽く隙間を塞ぎました。
冒頭でお話した失敗談も、つぶれやすい透明ケースを直接封筒に入れて運んだことが一番の間違いでした。箱の内側の壁と守りたい品物との間には、衝撃を逃がす空間があってもいいのです✨(もちろん、品物が動かないことが前提ですね)
詰め過ぎ注意!
さっきと逆の話。パンパンに詰め込むのは良くないです。
箱が膨らんでいるということは、その部分が内部から押し出されているということです。
箱の膨らみに物がぶつかると、直接中身に衝撃が伝わります。
膨らんでいる部分は他の部分よりもぶつかりやすくなっています。ゆとりのある箱詰めをしましょう。
見出しやメモは箱の側面に。
天面に文字を書くと箱を重ねたとき見えなくなります。側面に書けば大丈夫。
伝票は側面に貼るのが物流業の基本だったのですが、最近は違ってきてるのかなー、なんて思います。とはいえ、基本はこれなので、覚えておくといいですよ。引っ越しの時とか楽ちんです。
箱のフタを閉めるのは最後でいい。
特に複数の箱詰め作業をするときは有効です。入りきらなかったものを余裕がある箱に融通して入れられるかもしれません。入れたら記録しておくのがおすすめ。ということで次の話になります。
梱包状態を写真に撮っておこう
後日再び箱詰めする必要がある場合は特に有効です。今日紹介したやり方だと隙間を無くして詰めるので、後でどうやったかわからなくなると困るんです(困ったことがあります🤣)
以上、基本編でした。続いて、美術品輸送、作品発送、展覧会搬入出のポイントを説明していきます。
絵画の梱包
僕がミニ原画を発送する時は、絵をスチレンボードの台紙で挟んで梱包してます。基本に従い、絵が動かないように爪で固定。周囲にウレタンテープなどでスペーサを作り、上フタが画面に直接当たるのを防いでます。
なお額装済みの絵画の梱包については、額縁ごと梱包しちゃっていいと思います(防水は必要かも)。
下図のようにマット(窓抜きした厚紙)ありの額装の場合は、画面に直接ガラスが当たりません。
この作品は以前展示をしたとき、額を買ったときの元箱に入れて同じサイズの作品もう一点とまとめてビニールで防水、それを大箱に入れて輸送しました。額装サイズは四つ切です。
水彩画や版画の額縁には保護ガラスがあります。ガラスの替わりにアクリルを使っているものは強度が高いのですが、本物のガラスの場合、割れやすいので特に注意。外箱への「割れ物」表記はもちろん、ガラス面に段ボール板を当てるなど入念にやりましょう。
彫刻・工芸品など立体物の梱包
基本の「箱の中で物が動かないようにする」が特に重要になります。特に、陶器のような割れ物は転がらないようにしっかり固定しましょう。
ブロンズ像、鉄器のような重量物は他のものと分けて梱包する方が安全です。質量が大きいものほど衝突したときの衝撃が強い、的な。
複数作品を同梱するときは段ボール板などで仕切りを入れます。これにより作品同士の衝突事故を防止します。
構造上弱いところ、どっち方向からの力に弱いかの見極めも大切です。僕の作例ではうさぎさんのお耳とかね🐰
商品の梱包
お客様にお届けする商品の梱包は、作家の誠実さを示すバロメーターでもあります。丁寧に、しかし過剰なことなくエコにやりたいですね。
絵画作品の場合、先ほど挙げた台紙の上フタに絵の向きと同じ向きにして文字を書いてます(モデルさんの名前や、開け口の表示)。これは封を開けたときに絵が逆さまで、げんなりさせてしまわないようにという配慮です。
お客様はどんな気持ちで包みを開けるだろう?そのワクワクを裏切らないように…。原画と一緒に直筆のお手紙を入れたりね。
展覧会などの出品作品の梱包
展示の場合は、何よりも往復の輸送に耐える梱包材を選ぶことが大事になります💝
さっき紹介した気泡緩衝材はテープを剥がすと破れてしまうことがあります。搬出の時のため予備を入れておくと安心ですね。
自分以外の人が梱包するときのために、わかりやすいメモや写真もあると親切です。大切な作品なので。
展示場所からの撤去と、会場からの搬出が別日程の場合はまだいいのですが、同じ日程の場合とても慌ただしくなります。梱包もつい雑になってしまいがち💦
なので、梱包の時点で簡易化しておくととても楽です。非売品だったら専用梱包材を作ってもいいかもしれませんね。気泡緩衝材の替わりにバスタオルで隙間なく巻いてテープで固定、など。このとき別途防水が必須です!
ハンドメイド作品のように会期中に即売する商品の場合、搬入の時よりも量が減っていることも考慮しましょう。さっきご紹介した通り、箱に隙間があると商品が壊れやすくなります。
あと、複数メンバーが出品するグループ展の場合は箱に名前を書いておくといいですよ👍
まとめ
以上、僕が気を付けている梱包のノウハウをご紹介しました。
とにかく、箱の中身を固定する、ってのだけでもしっかり覚えておいてくれるとだいぶ違うと思います。
皆さんのお役に立てれば幸いです。
というわけで今日はここまでにします。また次の記事でお会いしましょう。またねーー👋
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