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水彩画でパレットが必要な理由。選び方や使い方。

こんにちはティムです。今日は水彩画制作の名脇役、パレットのお話です。

水彩で絵を描くみなさん、パレットは使っていますか?

パレットって、要は絵の具を混ぜて置いとければいいので、必ずしも市販のものを使う必要は無いんじゃない?って思っちゃいません?

ぶっちゃけそんな高度なテクノロジーを使った製品でもないし…  ←失礼💦

そんなわけで事実、僕は使っていませんでした。

今までは代用品で十分だったんです。

でも今は違います。結局買いました。

今日は、そもそもなぜパレットが必要だったのか、というところから説明を始めてみます。

その観点で、選び方、使い方と続き、僕観点での改造までレポートします。

今までなんとなくパレットを使っていた方も、参考になるかもしれませんよ。ではいってみましょう!

今まで使っていた代用パレット

パレットを買うまで、メインで使っていた画材は水彩色鉛筆です。

僕が水彩色鉛筆を使うときは、画面に直接色鉛筆で描いてから水で溶かすのではなく、別の場所で溶かした色を筆で取ってきて、絵の具のように使います。それが完全に乾いてから、色鉛筆でうさぎさんの毛並みを描いて仕上げます。

作例

こんなスタイルで小さな絵を描いていたので、普通の事務用紙とかプラスチックの小皿をパレット代わりにしてたんですよね。

事務用紙のペーパーパレット
プラ製小皿

こちらの簡易ペーパーパレットは、絵の具を混ぜて色を作ったらすぐに塗らないと絵の具が紙パレットに浸み込んでしまいます。絵が小さいので特に問題なく使えていました。

プラ小皿はベース塗りのための水彩絵の具や、うさぎさんのおひげを描くためのホワイトを出して使ってました。

無背景の小さい絵や、水彩色鉛筆だけで描くならパレットなしでもなんとかなります。

ところが…

森のうさぎシリーズでこんな絵を描くようになり、限界を感じ始めました😥

今まで描いていた絵より少し大きなサイズです(8×10インチ)。また背景まで描くようになりました。

背景がある絵を大きく描くには、水彩色鉛筆よりも絵の具の方が楽です。

そこで、描き慣れた水彩色鉛筆に加えて、透明水彩絵の具を併用するようになったのです。

簡易パレット、3つの弊害

そうすると、狭いパレットを無理して使っていて問題が起こりました。どういうことかというと…

軽すぎる

まず小皿は狭くて使いにくいうえ、最悪なのは筆を当てると動いてしまうんですよね。

下のイラストのように、混色エリアを広くとるために絵の具をトレイの隅に出します。それを筆で取ったり、ぐるぐる混ぜようとすると小皿が回って動いちゃう!

絵の具くんの顔は茶目っ気です。

小皿がくるくる動くと猛烈にイラっとします(笑)

ある程度の大きさと重さがあれば片手で楽に作業できますよね。これが最初の弊害。

絵の具をたくさん作れない

残る2つはちょっと似ています。

まず、背景ありの絵を描くためには絵の具をたくさん溜めておける場所が必要だったこと。

小皿や事務用紙の紙パレで描いているとすぐに絵の具がなくなります。

背景、特にその下塗りは水で多めに絵の具を溶きます。絵が大きければなおさら。だから広いパレットが必要だったのです。

作った色を保存できない

事務用紙の紙パレが絵の具を保持できるのはせいぜい1~2分です。

描くたびに何度も混色して作り直していると微妙に色味が変わってしまうんですよ。

例えば一続きの地面のように、連続した平面を塗るとします。途中で絵の具がなくなったら新しく作り直して塗ることになるのですが…。

正確に同じ色を何度も安定して作るのはとても難しいです。結果的に、同じ平面なのに微妙に色が違ってしまい、連続して見えなくなっちゃいます。

なので、一度にたくさん作っておいた色をしばらく保持できる場所が必要なんです。

ちなみに透明水彩絵の具は、絵の具が乾いても水で溶かして再利用できます。僕は絵が完成するまではパレットを洗わず、色を残しておきます。これも紙パレにはできない技ですね✨

ここまでのまとめ

つまりこういうこと。

パレットが必要な理由
  • ある程度自重があって安定するものが良い
  • 広いスペースが欲しい
  • 一度作った色をしばらく保管しておけると良い

そういうわけで、僕は市販のパレットを買って使うようにしました。

パレットの代用品はたくさんあるのに、いまだにパレットが売られてるのには理由があるんですね。

パレット選びのポイント

ここまでの理由をもとに、いい感じのパレットを選ぶポイントをまとめてみました。

素材

水彩絵の具で使うパレットの素材は主に、プラスチック、アルミ、陶器です。

まず図工の時間でお馴染みのプラ製。軽くて安いです。ただ、洗っても少し色が残ります。

プロも愛用するアルミ製は、軽さと多少の強度があります。表面にコーティングがしてあり、色が見やすく洗っても色残りしないよう配慮されています。プラ製より少し高価ですね。

陶製は重いので抜群の安定感。釉薬がかかった表面は真っ白で色が良く見えます。

僕が選んだのはプラ製です。なぜかというと…

アルミ製はお店で見たサンプルが傷んでて、コーティングのすみっこがひび割れてました。長く使いたいので外しました。

陶製は重すぎるのと、深くて小さいものが多かったです。薄くて広いものを使いたかったので外しました。

そして何より、改造はプラ製が一番やりやすそうだったから!

プラ製の欠点の色残りですが、僕はデザイナーのような均一な色を使わないので目をつぶりました。

僕はチューブ入り絵の具を何十種類も持たないので、絵の具を出しておく仕切りは少なくて良かったです。

水彩用のパレットの場合、絵の具が流れないように混色エリアが細かく仕切ってある方が使いやすいと思います。仕切りの背が高い方が楽です。

また、折り畳み式の方が埃を防げて良いです。(木彫家の制作環境は木の粉が舞いやすいのです😭)

ちなみに色数少な目の人はデザインパレットも広くて使いやすそうですね。

その他

自宅用なので机に適したサイズに。屋外スケッチ用の小型タイプや、閉じると中を密閉できるタイプもあります。

ちゃんとした紙パレットもあります。絵の具がしみ込まないやつ。ですが水彩絵の具で紙パレは使いにくいと思います。

そんなわけで選んだのはこちらです。

絵の具エリアや混色エリアは傾斜がついています。

選んだのはリンク先のNo.2800の方。非広告リンクです。

アートン 水彩パレット

パレットの作り方

一般に、パレットを作る、と言ったら自分が使う絵の具をパレットに配置する作業を言います。どの色を使うか、どの順番に並べるか、です。

透明水彩絵の具は乾いて固まってしまっても、水がついた筆で溶かしながら繰り返し使えます。なので、チューブ入りであってもパレットにまとめて出して固めておくのが一般的です。

僕はパレットを使い始めてだいぶ経ってから色の配置を考え直しましたが、この記事を読んでくれている皆さんは新品の時に決めちゃうと良いです。あとで洗うともったいないので。

下は2022年3月現在の僕のパレットです。カラー8色に白2色の体制です。

絵の具の種類はセット入りではなくバラ売りの中から自分で選びました。良く描く森の絵に適した緑、青、茶色(青も茶も緑寄りの配色です)に、混色で深みを出すための赤(クリムソンレーキ)をよく使います。

今まではよく使う色同士を近くに配置して、買い足した色を端っこに付け加えてましたが、王道の基本パターンを取り入れて並べ直しました。

つまり、色相環の順に色を配置して茶色系は一か所にまとめておくってやつです🎨

そのうえで、よく使う色が隣り合うように、赤と黄色が両端になるようにしました。ドレミファソラシドをソラシドレミファソにした感じ?違うかな。

しばらくこれでやってみます。132のローシェンナが黄色の場所に行くかも。

ちなみに色相環順に並べるのは、隣同士の絵の具を混ぜても色が濁りにくい組み合わせにするためと言われています。ちょっと隣の色を拾って混ぜて、色に変化をつけるのにも便利です。

逆に言えば、絵の具の混色結果をしっかり理解し、単調にならないように配慮していれば順番は自由です。(混色サンプル作ってみて。面白いですよ!)

結局、配置は皆さんの工夫次第ですね!

パレットの使い方

僕は各混色エリアをこのように使い分けてます。

特に白絵具を使うエリアは汚れないように一か所に固定しました。後述の使い方をするので、広さは2マスで十分。

その代わり、当初は白絵具専用にしていた左上の混色エリアをフリーに変更してます。やはりフリーエリアは沢山あった方がいいです。

プラスチック製パレットは自重がないのを心配していましたが、小皿の時よりもずっと安定感があります💗

パレットの上半分は折りたたむと逆さになるので絵の具を乗せないようにしてます。色数が増えたら使うかも。

白絵具だけは単色で使うことが多いので、使うたびにチューブから出し、他の色と混ざらないようにしてます。

自己流に改造

上の写真で紹介した通り、混色エリアの一角を水彩色鉛筆のために割きました。

水彩絵の具メインで描くようになってからも、水彩色鉛筆は使っています。

最初の方でお話した通り、僕は水彩色鉛筆を使うとき事務用の普通紙をペーパーパレットとして使っていたのですが…

今回せっかくパレットを買ったので、絵の具用のパレットと水彩色鉛筆用の紙パレットの役割を両方同時にこなせるようにしたいんですよね。でもパレットの表面はつるつるしていて、色鉛筆で描いても滑ってしまう…。

そこで紙やすりで混色エリアに傷をつけて荒らしてみました。写真のように細かい傷をつけてます。

おわかりいただけただろうか👻

傷をつけた混色エリアに水彩色鉛筆でガリガリ描くと顔料が削れてきます。それを水筆で溶いて絵の具のように使うのです。

これだけ?って思われちゃうかもしれませんが、この改造のおかげで水彩色鉛筆と水彩絵の具の混合技法が快適になりました🍀

金属や陶器のパレットに紙やすりを使うと表面の加工が剥がれてしまうんですよね。だからプラ製にしたのです✨

ただし、芯の塊が残ったまま塗るとこのようにムラになってしまいます。水彩色鉛筆の粉はすべてしっかり溶かしましょう。

こうならないように、紙やすりは細目がおすすめ。僕は240番で削っています。

ちなみにこの改造、ワルい画家の間では「ザラパレ」と呼ばれていてヤバいやつです。車検通んない的な🚗

👦「あのティムってやつザラパレっすよ!」

👱‍♂️「なに?下っ端の分際でザラパレだって?」

パレットは洗う?

洗いません、というか、洗えません😭

理由は上の方で書いた通りで、パレットに残った色を後で使うかもしれないから。それにチューブから出して固まった絵の具も繰り返し使えるので、洗うともったいないです。

上の方の説明で色の配置替えをするにあたり、ちょうど仕掛中の絵がなくなったのもあり、久々に洗いました✨

なので、キリがいいときに洗う、くらいの気持ちで十分だと思います。

絵の変化

下がパレットを買ってから半年くらい経った後の作例です。水彩絵の具と水彩色鉛筆の混合技法です。混色が複雑になり、色の深みが出てきました。

おわりに

パレットが必要な理由、その観点での選び方や使い方をまとめてみました。もし、水彩絵の具が使いにくく感じている方はもしかするとパレットが原因かもしれません。今日の記事が参考になると嬉しいです。

このブログでは水彩や木彫の技法や、作家活動全般について書いています。良かったら他のページも読んでみてね😃

それではまた次回お会いしましょう。最後までありがとうございました。またねー🙋‍♂️

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